これから大学院進学を控えている、考えている人にとって「学会」とはどんな感じか気になりませんか?
本記事では、現在大学院在学中で修士課程1年の筆者が、学会の流れについて実際の体験談を参考にお伝えします。
そもそも学会とは?
一般的に学会とは、学問や研究に携わる研究者たちが、自分の研究の成果を公表し、その内容について議論する場です。
様々な研究分野に対して学会があるので、自分の研究分野と関係のある学会に参加することになります。
学生が参加するものには、ポスター発表、口頭発表の2種類があります。
ポスター形式
ポスター形式は研究の内容に関するポスターを制作し、掲示する方法です。
A0(1189mm×840mm)や180cm×90cmなどの大きさで作成します。
発表者はポスターの前に立ち、自由に他の研究者たちに見てもらいます。
そして気になったことを発表者に質問するような形で、その場でディスカッションが繰り広げられます。
アドバイスや意見などを相互にやり取りできるので、新たなアイデアを見つけやすいと思います。
口頭発表
口頭発表では、発表スライドをプロジェクターで映しながら発表します。各参加者は10~15分の発表を行い、そのあと5分ほど質問時間が設けられています。
質問時間が短いため、いかに分かりやすく、時間内に収めた発表ができるかがカギになります。
自分の発表に対して大学の教授や企業の研究者から質問を受け、それに答えてディスカッションをしていく、というのが大きな流れです。
学会は国内で開催される国内学会、また世界中の研究者が集まる国際学会があります。今回は参加する機会が多い国内学会についてフォーカスします。
外部の似た分野の研究者からのアドバイスは非常に参考になり、今後の研究に活かせるものばかりです。
しかしその分しっかり準備をしていかないと、チャンスを活かすことができません。
続いて、学会に必要な準備とコツについてお伝えします。
学会に参加するための準備 書類編
学会に参加するには、まず学会ホームページで参加登録と概要や予稿原稿の提出が必要です。
それぞれ期間が定められているので、よく注意してみておきましょう。主に提出や登録が必要なのは以下のものになります。
- 概要や予稿原稿
- 所属や発表形式などの参加登録
- 参加費の振り込み
概要や予稿原稿
概要や予稿は200字から500字程度で短く研究の大まかな内容について書くものであったり、A4サイズの原稿に1ページから2ページ程で結果についても記述するものであったり様々です。
各学会で細かく指定されているので、よく確認しましょう。
学会の開催1~4ヵ月前に提出することが多いので、早めの準備が必要です。
所属や発表形式などの参加登録
原稿の提出と同時期に、参加登録も行う必要があります。
自分の所属や発表題目、発表形式の登録をしましょう。
発表形式は先述した通り主にポスター形式と口頭発表の2種類で、教授と話し合ってどちらにするか選びます。
参加費の振り込み
学会の参加費も忘れずに振り込みましょう!
研究室の予算に組み込まれている場合は、領収書もとっておきましょう。
以上の登録や提出は期限を過ぎてしまうと、参加できなくなるので余裕を持って準備をしましょう。
学会に参加するための準備 発表準備編
各種申込が済んだらいよいよ発表資料の準備に取り掛かりましょう。
ポスターはA0サイズや180cm×90cmサイズが推奨されることが多いです。
サイズに合わせてパワーポイントなどで作成します。
ポスターはインターネットで検索すると、見やすいレイアウトが多く出てくるので参考にすると良いです。
スライドを作る際には、誰が見ても理解できるように意識してください。
学会の分野によって省略して良い説明もあるので、先生や先輩に相談しながら作成しましょう。
想定質問の用意
資料を作ったら、その中で想定される質問について答えられるようにしましょう。
私はどのスライドに対して質問されてもよいように紙にまとめていました。
例えば、使った試薬のメーカーや、実験手順の意味まで細かく理由を用意しておきました。
当日、この試薬のメーカーは何?と聞かれたので準備していてよかったなと思います(ちなみに、同期はこの準備をあまりしておらず同じ質問をされて撃沈していました…)。
準備していれば答えられる質問で悔しい思いをしないためにも、入念に準備しましょう!
発表練習
内容が完成したら発表練習をしましょう。
口頭発表のスライドなら指定時間内に収められるようにしなければなりません。
ポスターでの発表においては「1分で概要を説明して」「3分で内容を話して」と説明を求められることがあります。
そのため、1分、3分、5分で内容を説明する練習をしておくと良いです。
研究室内での発表練習の機会を設けるのも、非常にいい練習となります。
そこで実際に質問されたことは本番でも聞かれる可能性が高いです。
どのような意図があって、何が知りたいのかを考えておくと、少し違った方向からの質問にも対応できます。
発表でボコボコにされたら…?対応も考えておくと◎
このように練習していくと段々発表に慣れてきますが、もし当日教授陣からの質問に答えきれずボコボコにされたらどうしよう…と不安になりますよね。
筆者は、わからない質問が来た際には「その点については考えておりませんでした」と素直に答えて、そこから質問者の提案を聞くようにしていました。
そこで疑問に思ったことや自分の意見は積極的に発言していくといいディスカッションになって、相手も有益な情報を教えてくれます。
また、質問されている時に解釈があっているか確認するために「それは~~~という認識でよろしいでしょうか」と確認をとると、自分の頭の中を整理できるのでおすすめです。
怖がらず、謙虚に挑んでできるだけ多くのことを吸収していきましょう!
研究発表の場、学問を楽しむ!
ここまで準備をしてきても、学会が近づくと緊張します。緊張しない人はほとんどいません。
私は、研究の前では「みな平等」だと考えています。
知っていることに対しては積極的に議論し、知らなかったことは吸収していく気持ちが大切です。
学問を楽しむことが、学会成功につながります。失敗しても、次に活かせばいいです。
緊張を持ちつつ、気楽な面も持ち合わせていくといいでしょう。
学会は忙しいけど、得られるものが多いのでしっかり準備をしよう
学会参加について必要な準備をお伝えしました。
資料の準備から発表練習まで、やるべきことが多くて学会参加までの期間は忙しいと感じるかもしれません。
研究活動で避けて通れないものなので、やるからには最高の準備をして、無理はしすぎず頑張りましょう!