これから研究者や技術者を目指したいと思っている方や、世界で活躍する研究者になりたい方、弁護士などの専門職に就きたい方は、大学院を卒業する必要があります。
しかし、大学院に進学しようと思うと、学費のことが気になってきますよね。
大学院は、国立や私立の大学院や、法科大学院などの専門職大学院によっても学費が変わってきます。
この記事では、
- 国立・私立・専門職の大学院がそれぞれどのくらい学費が必要になるか
- 修士課程と博士課程でどのくらい学費が変わるか
- 大学院での奨学金について
これらについて徹底解説していきたいと思います。
大学院に進学する際の、目安になれば幸いです。
大学院の学費はどれくらい?
大学院の学費ってどれくらいなんでしょうか?
● 国公立大学院
● 私立大学院
● 専門職大学院
についてそれぞれ紹介します。
国公立大学院の場合
国公立大学院の1年間の学費はこちらです。
国公立大学院の学費の目安
入学料:28万2000円
授業料(年間):53万5800円
国公立の場合、文部科学省が学費を決めているため、学部による差はありません。
また、授業料は前期と後期に分けて振り込むことになることが多く、東京大学の場合5月と11月に半期分の26万7900円を納入します。
私立大学院の場合
私立大学院は大学によって学費が異なります。
文部科学省の調査によると、学費の平均はこのようになっています。
私立大学院の学費の目安
【博士前期課程(修士課程)】
入学料:20万7292円
授業料(年間):75万9865円
施設設備費:7万4299円
【博士後期課程(博士課程)】
入学料:19万8103円
授業料(年間):60万6954円
施設設備費:5万3036円
私立大学院は学部によっても学費が変わるので、私立大学院へ進学する方はその大学院の学費を調べることをおすすめします。
また、私立大学院は同じ大学から内部進学する場合、入学金が半額になったり、免除になることもあります。
私立大学院(理系)の学費を比較!
私立大学院(理系)の学費を比較してみました!
この比較では、2020年度の学費を調べています。また、入学金は含んでいません(入学金は状況によって異なるため)。
大学名 | 理工学系 |
慶應義塾大学 | ¥1,030,000 |
早稲田大学 | ¥1,071,000 |
上智大学 | ¥1,397,900 |
東京理科大学 | ¥1,100,000 |
同志社大学 | ¥1,076,000 |
明治大学 | ¥923,000 |
青山学院大学 | ¥926,000 |
芝浦工業大学 | ¥1,205,000 |
法政大学 | ¥970,000 |
おおよそ年間100万円の学費がかかることがわかりました!
入学料が約20万円なので、年間120万円程度と考えておくといいでしょう。
私立大学院(文系)の学費を比較!
続いて、私立大学院(文系)の学費も比較してみました!
大学名 | 法学系 |
慶応義塾大学 | ¥1,050,200 |
早稲田大学 | ¥639,500 |
上智大学 | ¥721,400 |
立教大学 | ¥683,000 |
青山学院大学 | ¥590,000 |
国際基督教大学 | ¥1,251,000 |
同志社大学 | ¥715,000 |
法政大学 | ¥650,000 |
関西学院大学 | ¥689,000 |
見事にバラバラですね…。
大体60万〜70万ぐらいのところが多いようです。
入学料の約20万円を足すと、年間80〜90万円程度かかる計算となります。
専門職大学院の場合
専門職大学院とは、法曹(法科大学院)や会計、ビジネスなどの高度専門職業人の養成を目的として設置されている大学院です。
平均的な学費はこちらになります。
専門職大学院の学費の目安
入学料:19万5960円
授業料(年間):111万7992円
施設設備費:6万7234円
専門職大学院は私立の理系大学院に相当する学費がかかるので、すこしお高めですね。
その分、弁護士や公認会計士など専門的な職を目指しやすくなります!
修士課程と博士課程では総額が異なる
大学院では博士前期課程と博士後期課程の2つの課程があります。
修士として卒業するならば、
博士前期課程(2年)
を修了する必要があります。
博士として卒業するならば、
博士前期課程(2年)+博士後期課程(3年)
を修了する必要があります。
修士だと2年間大学院に通うのに対して、博士では5年間大学院に通わないといけません。
そのため、修士と博士では学費が変わってきます。
修士までの学費は2年間で150〜200万円
修士まで進学する場合の学費はこちらです。
修士課程の学費の目安
【国公立大学院】
入学料(初年度のみ):28万2000円
授業料(年間):53万5800円×2年
合計:135万3600円
【私立大学院】
入学料(初年度のみ):20万7292円
授業料(年間):75万9865円×2年
施設設備費:7万4299円×2年
合計:187万5620円
博士までの学費は5年間で300〜400万円
博士まで進学する場合の学費はこちらです。
博士課程の学費の目安
【国公立大学院】
入学料(初年度のみ):28万2000円
授業料(年間):53万5800円×5年
合計:296万1000円
【私立大学院】
入学料(初年度のみ):20万7292円
(博士前期課程)
授業料(年間):75万9865円×2年
施設設備費:7万4299円×2年
(博士後期課程)
授業料(年間):60万6954円×3年
施設設備費:5万3036円×3年
合計:385万5590円
修士と博士では、学費が倍ほど違ってきます。
そのため、大学院へ進学する場合は前もってどちらにするか考えておくことをおすすめします。
もし、博士課程まで進むと決めたとしても、途中で無理になった時は修士で終えることも出来ますので安心してください。
奨学金はどんな種類があるのか?
大学院へ進学するにもお金がかかります。学費が高すぎて進学することを不安に思っている方には、奨学金という選択肢もあります。
私は実際、奨学金を借りて大学に通っていました。
奨学金には、返還の義務がある貸与型と返還しなくていい給付型の2種類あります。
これから奨学金について紹介していきます。
多くの学生は日本学生支援機構を使う
私も使っていたのが、この日本学生支援機構(JASSO)の貸与型の奨学金です。
日本学生支援機構の奨学金では利息なしの第一種奨学金と利息ありの第二種奨学金があります。
日本学生支援機構の奨学金
第一種奨学金:
利息なし。修士課程では5万円もしくは8万8000円、博士課程では8万円もしくは12万2000円が貸与される。
第二種奨学金:
利息あり。5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選ぶことができる。
第一種奨学金は大学での成績や家庭の環境によって選ばれるので、なかなかに厳しい条件になります。
第二種奨学金は利息ありということもあり、比較的通りやすいです。
奨学金は併用や入学時特別増額という増額制度もあるので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
また、2020年4月より日本学生支援機構も給付型の奨学金を始めています!
給付型の奨学金には条件がありますが、給付型奨学金の対象となれば、大学・専門学校等の授業料・入学金も免除又は減額されます。
● 進学したらどのくらいのお金が必要になるのか
● どの奨学金の対象になるのか
● 給付や貸与の額はどのくらいになるのか
これらのことが知りたい人は、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」を一度してみることをおすすめします!
給付型の奨学金を狙ってみるのもあり
給付型の奨学金は主に民間団体が行っています。
その民間団体には、理系の大学院生向けの公益財団法人帝人奨学会や大学院生全般向けの公益財団法人東電記念財団など、数多くの有名企業の財団があります。
こちらにその一覧が載ったサイトを紹介しておきます。
給付型奨学金は成績などの条件が厳しいため、大学生の時にかなり頑張る必要があります!
大学院では奨学金が免除になる場合がある
大学院に進学してから、奨学金が免除になることがあります。
それは、研究や論文などで著しい結果を残したとき、それを申請することで奨学金の返済を免除してくれるという制度があるからです。
大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。
学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。
貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。
そのため、給付型が取れなかったとしても諦めないでください。
大学院で力を注ぐことで、金銭面の不利をカバーすることができます。
大学院は自分の研究だけに没頭できる唯一の時間
大学院は本当に「研究しかしない」という生活ができます。
昼夜問わず、自分の興味のあることだけを追求できる唯一の時間です。
これから、研究者などの専門職を目指したいと思っている人は、自分の興味のあることに全力で取り組んでもらえたらと思います。
大学院から得られることはとても多いです。
辛いことも多いですけどね!笑
金銭面は給付型奨学金や免除制度など努力でなんとでもなるので、自分の可能性を広げるような選択をしてください!