研究室選びの時によく見ておいた方がいいよ!って先輩方に言われるのが、
- 先生との相性
- 行っている研究
- コアタイムの有無
とかだと思うんです。
確かにこれは、とてもとても大事です!
しかし、これらはわざわざ言われなくても、想像がつく方も多いと思います。
「もっと、判断できるところはないか」と真剣に考えている方だからこそ、この記事を読んでいるのではないでしょうか。
「もっと、詳しいのを求めているんだ!!もっと情報くれよ!!」
「いい研究室に入って、本気で学んで、絶対成果を出して成功するんだ!」
「そのための方法を教えてくれ!後悔したくないんだ!」
という「本気で悩んでいる」方へ向けて、
「多くの研究室を見てきた研究者」だからこそわかる、「良い研究室の選び方」
を紹介します!
基本的な選び方の基準も紹介するので、「就活がしやすい研究室」や「ブラックを見分けたい」という方にとっても、お役に立てると思います。
研究室選びの基本事項
まずは、本題に入る前に「研究室選び」の基本事項を紹介します!
すべての研究室は、この3種類に分かれます。
- 研究をしっかりできる研究室
- 就活をしっかりできる研究室
- 両方しっかりできる研究室
研究をしっかりできて、就活もしっかりできるところが一般的に良い研究室です。
「就活も研究もしっかりできる研究室」を選びたい場合、この10項目を見ましょう!
【研究がしたい人向け】
- 自分が学びたい分野で、有名な先生がいる研究室か
- 有名なジャーナルに論文が出ているか
- 博士課程・修士課程に進んでいる学生は多いか、ポスドクはいるか
- 先生は学生に対して真摯に接してくれる人か
- 留学のコネは持っているか(留学生はいるか)
- 研究費は多いか
【就活で力を入れたい人向け】
- 研究室に就職のコネがあるか
- コアタイムが短い研究室か
- インターンや就活は自由にできるか
- 雑誌会や勉強会、報告会などのイベントが少ないか
この選び方の理由については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください!
-
後悔しない大学院の選び方!理系外部院生が自分に合った研究室を選ぶコツを紹介
本記事で紹介する「研究室の選び方」は、より「研究室の勢い」や「研究の質」を見極めるためのものです。
研究を本気でしたい人にこそ、お役に立てると思います!
自分に合った研究室を選ぶには研究室訪問するのが早い
実際に、研究室へ行って先生や学生に話を聞くと、自分がこの研究室に合っているかどうかがわかります。
研究室選びを間違えると、地獄の生活をすることになるので、行った方が良いです。
研究室訪問で先生や学生に、
- どんな研究をするのか
- コアタイムや実際の研究時間
- 先輩の就職先や就活のしやすさ
などを聞くと具体的な研究室生活が想像しやすくなります。
特に、学生は正直に答えてくれるので、ブラックかどうかも見分けがつきます!
研究室訪問で聞いておいた方がいい質問もまとめています。
大学院生向けの記事ですが、学部生でももちろん使えます。
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【大学院】研究室訪問で聞きたい15の質問!理系外部生の私が実際に聞いたことを紹介
もし、大学院の研究室選びで外部進学を考えている方は、研究室訪問はこちらを参考にしてください。
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-
【私が実際に行った】外部大学院への研究室訪問の仕方【メール例も紹介】
研究者が語る「良い研究室の選び方」
研究室を選ぶときには、
- 自分がやりたい研究をしている
- 先生との相性がいい
- 研究室の質が高い
この3つをクリアしている必要があります。
上の2つは研究室訪問をすれば、ある程度わかりますが、3つ目の判断が難しいです。
本記事では、この3つ目の「研究室の質の見極め方」に焦点を当てて紹介していきます!
勢いのある良い研究室を見極めるには、以下の11項目を見てください!
- 投稿している論文数が多いか
- 論文の質をIFで見る
- 先生は複数人いるか
- 研究は「理論」か「分析」か「探索」か
- 企業と共同研究をしているか
- 研究室の設備や研究室はきれいか
- 研究室のサイトに力が入っているか
- 学生がポスター賞などの賞を受賞しているか
- 試薬が届くのは早いか
- 教授がなかなか研究室にいないか
- いい先生は「外面がいい」傾向がある気がする(中身がいいとは言っていない)
① 投稿している論文数が多いか
論文とは、「新しい発見」を世界に広めることです。
論文の数が多ければ、それだけ「新しい発見」をしている研究室なんです。
新しい発見ができるほど、研究に力が入っていることが分かります。
年間1本以上出ていれば、研究の種類にもよりますが、そこそこの研究室です。
クリリンぐらいですね。
年間5〜10本出るような研究室だと、かなり研究意欲の高いメンバーが揃っています!
リアルでサイヤ人クラスの化物がいます。
論文の本数 = 戦闘力
と考えてもらって大丈夫です!
② 論文の質をIF(インパクトファクター)で見る
論文は大事なんですけど、
ただ、論文の本数があっても仕方ないんです。
大事なのは、論文を投稿した雑誌のIF(インパクトファクター)がいくらなのかです。
IFとは、雑誌のランクを表す指標です!
一般的にIFが高いほど影響力のある(すごい)雑誌になります。
算出方法は、過去二年間に雑誌に掲載された論文の被引用状況を元に、毎年新たな数値を算出しています。
引用される = 参考になるほど良い論文
と見てください。
有名な雑誌のIFを紹介します!
有名な雑誌のIF(2018年)
- Nature 43.070
- Science 41.037
- Cell 36.216
- EMBO 11.227
5.0以上だとそこそこ、10.0以上だと文句なしで有名なジャーナルです。
IFが高い論文ほど、出稿料も高いので、有名な雑誌への投稿が多いということは、
お金も持っています!!
実力もお金もあるところがいいですよね!
③ 先生が複数人いるか
先生が複数人というのは、合同の研究室ということではなく、
教授、准教授、講師みたいになっているところです。
なぜ、複数人いると良いかというと、
- 視点の異なる複数の意見が聞けるため、実験が進む
- 研究室メンバーも多くなるので、活発になる
- 教授がいない時でも、聞ける人がいる
単純にプロの数が多いのは、ありがたいです。
一人の意見よりも、複数の意見を聞く方が、問題の本質が見えてきます。
また、実験が詰まったときに相談したくても、出張で先生が長期間いないこともあります。
そんな時にも、他の先生がいれば安心です。
デメリットは誰の下につくかで、忙しさなどの待遇が変わること…!
私のいた研究室も複数人の先生方がいましたが、教授と准教授の意見に挟まれて、実験が大変でした…笑
中間管理職をやってる気分になるので、社会人気分を味わえますよ!
④ 研究は、「理論」か「分析」か「探索」か
研究室には、大きく分けて3つの研究に分かれます。
- 今まで行われた研究から新しい理論を考える、理論研究
- 測定法などの開発や、分析によって新しい知見を得る、分析研究
- これまでにない新しい物質や現象を生み出す、探索研究
研究の種類によって、結果の出しやすさや、身に付くスキルが違うんです!
私の感覚ですが、
分析研究>探索研究>理論研究
の順番で、論文が出やすいです。
一番大事なのは、あなたがやりたい分野に行くことですが、
「本気で研究をするけど、修士で就活をして、いい企業に行きたい」
という場合は、学会発表や論文投稿などの成果を重視して、研究室を選ぶのもアリだと思います!
⑤ 企業と共同研究しているか
企業との共同研究は、結果を残している活発な研究室でしか行われません。
企業は営利目的で共同研究先を選んでいるため、結果の出せる見込みのある研究室が選ばれるからです。
また、共同研究先の企業にはコネで入社できることがあります。
私が働く製薬業界では、研究職はコネ入社が大半を占める大企業もあります…!
えげつねぇな…。
将来的に就職を考えるのであれば、コネを持つ研究室に行くといいです。
⑥ 研究室の設備や研究室はきれいか
実験では、機械や器具を使うので、どうしても壊れます。
お金がない研究室は修理ができずに、そのままにされてホコリをかぶってたりします。
または、新しい機器が買えずに、古い機器を使い続けていることもあります。
研究室の設備とその状態を見ることで、
- お金に余裕があるか
- 実験が十分にできるか
- 機器のメンテナンスがされているか
- 機器の扱いの指導はしっかりされているか
を知ることができます。
私は、「資金が足りない研究室」、「資金が潤沢な研究室」どちらも見てきたので、これはかなり大切だと感じています!
研究力 = お金 というのはあながち間違いではないです。
⑦ 研究室のサイトに力が入っているか
有名な研究室や、実力のある研究室は、サイトのデザインや更新頻度が高いです。
ポイント
「デザインに力が入っている」とは、今風でオシャレなデザインという意味ではないです笑
ダサくても、頑張っているデザインということです!
いろいろな研究室のサイトを見た時に、「おっ!」とデザインに目が入って、更新頻度が高ければ、実力のある研究室かもしれません。
⑧ 学生がポスター賞などの賞を受賞しているか
ずば抜けた天才が受賞しているパターンもありますが、
定期的に学生が賞を受賞していれば、いい研究室です。
賞を受賞できるぐらいの、
- 研究のクオリティの高さ
- プレゼン指導の上手さ
- 研究室メンバーの実力
があるということですからね!
受賞歴は見ておきましょう。
⑨ 試薬が届くのが早いか
これは、大学の有名さにも影響されるんですけど、
いい研究室は試薬が届くのが早いです。
試薬を届けてくれる会社の人は、得意先の研究室ほど融通がききます。
数が限られた試薬をどこに届けるか、という優先順位があるんです。
A研究室では2週間かかるのが、B研究室では3日というのもあります。
同じ大学内ならそこまで差はないかもしれませんが、大学の研究室によって差があるのは知っておいてください。
⑩ 教授がなかなか研究室にいない
勢いのある研究室の教授は、かなりの実力者です。
国内及び海外の学会・講演、交流に盛んに参加します。
となると、「研究室にいない」ことが多くなるんです。
1カ月近くいないことや、1週間いないことはざらにありました。
それは、学生にとっては嬉しくもあり、困ることでもあるんですけど。
研究において、いい研究室であることは間違いないので、他の先生がいるかどうかも確認しながら、研究室選びの基準にしてみてください。
⑪ いい先生は「外面がいい」傾向がある気がする(中身がいいとは言っていない)
実力があるという意味で「いい先生」というのは、外面がいいです。
これは、確実なことではないんですけどね!
私が関わった人の傾向が「外面のよさ」なんです。
研究をするにあたって、他の先生方の信用を得たり、情報共有をするために交流が必要不可欠です。
そのため、コミュニケーション力に長けています。
中身が超厳しい先生の場合もありますが、一流の研究者には「外面の良さ」があることを覚えていてください。
良い研究室は良さが外に溢れ出ている
良い研究室の見分けるポイントを知っているかどうかで、研究室訪問をしても得られる情報の多さに雲泥の差がでます!
サイトや研究室の雰囲気から良いところを読み取って、納得できる研究室を選んでください!
大学院進学と大学院生活については、こちらの記事で全てまとめていますので、参考になれば幸いです。
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