「マッカーリ・サイモン物理化学」は、私が旧帝大の院試で使った教科書で、1999年に発売されたにも関わらず今でも1位、2位を争うくらい人気の本です。
式の導出から訳のわからない物理化学ですが、マッカーリ・サイモンは他の教科書に比べて一つ一つの式が丁寧に解説されていて、理解するのにすごく助かります。
特に量子化学においては、この本より分かりやすい教科書はありません。
熱力学についてもアトキンスと同程度のレベルで、翻訳も分かりやすいです。
物理化学は有機化学と比べて、教科書数が少ないので1冊目の選択肢は次のどれかになります。
- アトキンス物理化学
- マッカーリ・サイモン物理化学
- バーロー物理化学
本記事では、私が一番おすすめするマッカーリ・サイモン物理化学についてレベルや、他の教科書との違いについて紹介します!
マッカーリ・サイモン物理化学のレベルは難しい?

最新刊:マッカーリ・サイモン物理化学 初版(全2巻)
レベル:(学部生向け)
出版年:1999
サイズ:A5
ページ数:1464
カラー:モノクロ
マッカーリ・サイモン物理化学は、物理化学を学ぶ学部生にちょうどいいレベルの教科書です。
物理化学は初学者にとって、全て難しすぎると感じますが、じっくり読んでいって理解できる教科書は、これくらいだと思います。
私は有機化学系の研究室だったので、物理化学はちんぷんかんぷんで「何これ…???」って感じでした笑
しかし、院試のためにはどうしても物理化学を勉強しないといけません。
それで物理化学の先生に相談しにいったら、苦手な人はマッカーリ・サイモン一択だと言われました。
その理由は、
- 量子化学でこの本より分かりやすい本はない
- 行列など計算に必要な数学も1から解説されている
- 演習問題も良問揃いで、下手な演習書より質が高い
このように説明されて、私もマッカーリ・サイモンを使うことにしましたが、本当に正解でした。
アトキンスは内容が網羅されている上、カラーで見やすく作られているので、物理化学のハードルが下がっているような印象を受けます。
しかし、式の導出がいきなり飛んでいくので、苦手な私には「何でこうなるの?」ってつまづくことが多かったです。
その点マッカーリ・サイモンは丁寧に書かれていて、つまづくことはありますが、式を整理していくとちゃんと理解できました。
院試の時には無機化学よりも物理化学が得意になったくらいなので、アトキンスが合わない方はマッカーリ・サイモンに変えると、すんなり頭に入ってくるかもしれません。
マッカーリ・サイモンみたいに1500ページもあるのは、ハードルが高いと感じる方へ
マッカーリ・サイモンは優れた本なのは間違いないですが、ページ数は多く物理化学を1から学ぶにはハードルが高いと感じる方もいると思います。
実際に1から学ぶのはかなりしんどいので、苦手意識を克服するために薄い簡単な本から始めましょう!
入門用の1冊としては、「ベーシック物理化学」や「わかりやすい物理化学」がおすすめです。
- ベーシック物理化学
- わかりやすい物理化学
私も最初はわかりやすい物理化学を読んで、物理化学の大枠を勉強しました。
簡単にするために詳細な式の導出は載っていないので、物理化学の基礎を理解するのに使って、2冊目にはマッカーリ・サイモンやアトキンスを選びましょう。
熱力学はなんとかなるけど、量子化学が分からないという方は、「量子論の基礎」を手に取ると解決できると思います。
マッカーリ・サイモン物理化学を存分に使うなら、解答書も必須
マッカーリ・サイモンを教科書として読むだけでは、もったいないです。
章末の演習問題も物理化学の理解に役立つ良問が揃っていて、院試にも使えるのでぜひ一通り解きましょう。
ただ演習の解答書が洋書というのが難点ですが、中の解説は高校生でも読めるような簡単な文章なので、安心してください。
演習を通して教科書の内容が理解できる時もあるので、勉強する時には解答書も一緒に持っておくといいです。
院試にも役立つ物理化学の演習書
マッカーリ・サイモンの演習をするだけでも、相当の力がつきます。
あとは院試で物理化学を使うのであれば過去問を勉強し、それも終わった方は「物理化学演習 大学院入試問題を中心に」で色んな問題パターンを学ぶといいでしょう、
熱力学を強化したい方は、「右脳式 演習で学ぶ物理化学」が良問揃いでおすすめです。
- 右脳式 演習で学ぶ物理化学
量子化学を理解するならマッカーリ・サイモン物理化学がベスト
量子化学にはシュレディンガー方程式や調和振動子など、初学者をボコボコに打ちのめす理論と計算が山ほど出てきます。
あまりに難しすぎて省略している教科書が多い中、マッカーリ・サイモンだけは正面から量子化学に立ち向かい、学ぶ人の理解を助けてくれます。
これから物理化学を勉強する人にも、院試の対策をしたい人にも最適な教科書であると言えるので、手に取ってみてください。
院試に合格した経験から、他の教科書や院試についても紹介していますので、ぜひこちらもどうぞ!
化学の教科書解説