心理学は万能な学問ではありませんが、
- 対人関係の理解
- 精神疾患についての知見
- ストレスへの向き合い方
など、私たちが生きる社会・環境を知るうえで、大切なことをたくさん教えてくれます。
そんな心理学に取りつかれ、大学院への進学を決めた私の入試体験記をお伝えできればと思います!
そもそも心理学って大学院で何を学ぶの?
まずは、心理学の大まかな分野について説明します。
もう「何を学びたいか」についてしっかり決まっている人には今更かと思いますので、院試勉強まで飛ばしていただいて大丈夫です!
心理学には大きく分けて、
-
基礎心理学
-
応用心理学
の2つの分野があります。
心理学というと、カウンセラーや心療内科を想像する人が多いかと思います。
これは心理学の中でもいわゆる「応用心理学」と呼ばれる分野です。
大学院では実習やケースカンファレンスなどを通じて、臨床心理士や公認心理士になるための勉強をします。
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一方で、心理学には「基礎心理学」と呼ばれる分野もあります。
簡単に説明すると、まだ発見されていない、あるいは理論として知られていない社会の問題を考え、言葉で表す(理論化する)分野です。
大学院では研究がメインで、授業では自分の専門分野以外の分野を学んだりして広く心理学の知識を蓄えます。
進学後の進路としては、大学教員や研究所、民間企業への就職が主です。
大学院ではこの「基礎心理学」を学ぶ学科と、「応用心理学」を学ぶ学科は分かれていることも多いです。
そのため、「自分はどちらの学科に行きたいのか」を大学院受験の前に決めておく必要があります。
心理学系の大学院入試で行った勉強
ここからは、入試までに必要な勉強についてお伝えします。
私は外部入学(通っていた大学とは違う大学の大学院に入ること)で大学院に入ったので、その際に行った勉強方法をご紹介します。
入試では、
- 筆記試験(心理学/英語)
- 口頭試問
があったので、まずは筆記試験の勉強からお伝えします!
筆記試験対策
まずは過去問を読み解こう!
大学院受験の筆記試験において、必須なのが過去問です。
過去問を読み解くことで、その大学院ではどういう能力を重要視しているのかがわかります。
例えば、
-
心理学の基礎知識について多くの知識が必要なのか
-
データが手元にあると仮定して研究計画や分析モデルを想定するのか
などです。どっちも聞かれる場合も多いです。
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、過去問を解き、自分の苦手な範囲や解答に時間がかかる問題を把握することが大切です。
心理学系の筆記試験では統計がつまずきやすい
大学院によっても異なると思いますが、筆記試験では心理学の知識と英語の理解度を問われます。
入学後に授業についていけなくなってしまうのを防ぐためですね。
心理学の筆記試験で特につまずきやすいのは統計の分野です。
「文系だったはずなのに、なぜ数式を学んでいるんだ…?」と絶望する人もいると思います。
あとは、実際に使えはするけど詳しい説明を自分でするのは無理!という人も。
心理学で最初に学ぶ分析の例を挙げると、
「因子分析」、「カイ二乗検定」、「分散分析」、「重回帰分析」などがあります。
私は学部生の時に受けた授業の資料や、参考書を使って復習しました。
その時に使った、参考書を2つご紹介します。
- 統計嫌いのための心理統計の本:統計のキホンと統計手法の選び方
統計が嫌いな人のために、統計用語や統計の種類から説明してくれる本です。
数式や専門用語は控えめに、文章によって丁寧に説明してくれています。
- 心理統計学の基礎―統合的理解のために
心理統計学の参考書でもかなり有名な本になります。
「なぜこの統計法を使いたいのか? 使う必要があるのか?」ということを理論的に教えてくれます。
ただし先ほどの本に比べかなり専門的で難しいです。
専門用語や数式が多く使用されています。
心理学系の英語の勉強法
私の場合、英語は2通りの方法を使って勉強しました。
- 学術研究で使われる英単語を覚える
- 英語で書かれた心理学の教科書を読む
という方法です。
1つ目の英単語の勉強で使ったのは、TOEFL iBT受験用の英単語帳です。
- TOEFL iBTテスト 英単語3800
TOEFL iBTの参考書をおすすめする理由は、TOEFL iBTのスコアを英語試験の代わりに提出できる大学院が結構あるため、ついでに勉強ができて一石二鳥だからです。
志望大学院がTOEFL iBTに対応している場合は、TOEFLのスコアも取っておきましょう。
一方で、行きたい大学院がTOEFL iBTに対応してない!という方には、「心理院単」がおすすめです。
- 心理院単 臨床心理士指定大学院入試のための必須英単語1500
大学院入試に出てくる英単語が頻出順に並んでいるほか、例文も記載されているのでとても分かりやすいです。
「臨床心理指定院のための」と書かれていますが、臨床心理学だけでなく発達心理学や研究法・統計心理学、社会心理学など他分野の用語もたくさん載っています。
大学院で基礎心理学を学びたい人にもおすすめの参考書となっています。
続いて、2つ目の勉強法で使っていた、英語で書かれた心理学の教科書もご紹介します。
- Atkinson & Hilgard's Introduction to Psychology
内容は心理学に関するこれまでの知見が幅広く載っています。
様々な分野の基礎を学べる本ですが、本に載っている内容を全て網羅していれば試験が解けるというわけではありません。
私は心理学の英文に慣れるために使用していました。
口頭諮問対策
続いて、口頭諮問の対策をご紹介します。
私が口頭試問で聞かれたことを以下にまとめました!
- なぜこの大学院を選んだのか?
- 卒業論文の内容
- 卒業論文の問題点
- 大学院に入ったらやりたいテーマ
- 筆記試験の出来について
①は就職活動にも通ずる部分があると思いますが、「その大学院でなければならない」理由を挙げられると良いと思います!
例えば、
「志望する研究室の研究テーマが自分のやりたい研究と近く、先生に教えを請いたいと感じた」
「自分のやりたい研究をするにはこの機材や設備が必要で、それはこの大学院にしかない」
などですね。
あなた自身が何をもってこの大学院を選択したのかについて、一度じっくり考えてみてください。
⑤の筆記試験の出来については、「そんなこと聞かれてもわかんないよ!」と言いたくなるかもしれませんね。
私も実際にそういう気持ちになりながら答えました(結局何点だったんだろう…)。
ここはもう、正直に自分の体感を伝えればいいのではと思います。
正直、口頭試問で一番深く聞かれた部分が②~④の卒論についてと今後研究したいテーマについてでした。
「研究についてどの程度理解しているのか」や、「責任を持って研究に取り組める人間かどうか」を見定められているように感じました。
そのため、口頭試問に向けて「自分がこれまでにやってきた研究」と、「今後やりたい研究」については明確に、自分なりの考えを準備しておく必要があります。
参考までに、私が口頭試問のために行ったことをいくつかご紹介します。
自分がこれまでにやってきた研究について
「自分がこれまでにやってきた研究」は、おそらくほとんどの人が卒業論文の話になるのではと思います。
大学での成果として最も伝わりやすく、今後の研究の足掛かりとなる成果です。
そのため、自身の研究については、誰よりも詳しくなることを目指しましょう。
- なぜこの研究テーマを選んだのか?
- この研究の意義は?
- この研究で残った課題は何か?
など、いろんな質問を想定してイメージトレーニングしておくことが重要です。
今後やりたい研究について
また、今後やりたい研究についても深掘りしておきましょう。
- 卒業論文での成果を踏まえて、今後はどんな研究をやりたいか?
- 進学後は異なるテーマを扱いたいのであれば、なぜその考えに至ったのか?
テーマに関連しそうな他の要因や異なるアプローチを探ったり、先行研究などを読んで具体的な計画を想定しておきましょう。
今後やりたい研究に関しては、大学院入試出願時に計画書の提出を求められることが多いです。
そのため、ぶっつけ本番というわけではないので安心してください。
また、進学先で指導してくださる先生に、直接相談するのも良いです!
口頭諮問で想定していない質問が来たら
口頭試問ではとにかくパニックにならないことが大事です!
「想定していない質問をされた…」
「どうしよう、緊張しすぎて内容ど忘れして答えられない…」
色んな問題が起こり得ますが、まずは落ち着いてください。
全部完璧に答えられなかったら受験に落ちてしまう、なんてことはありません。
口頭試問で先生方があなたに聞きたいことは「完璧な答え」などではなく、「あなた自身が何を考え、研究にどう取り組んでいきたいか」です。
慌てず冷静に、自分が答えられる範囲のことを答えてください。
試験前日と当日の過ごし方について
自分の力を問われる場面というのは少なからず緊張する場面ですし、ガチガチになってしまう人も多いと思います。
私は入試前日と当日はとにかく緊張していました(笑)
前日は過去問を見返したり、参考書を読んで復習したりしていましたが、緊張で全然捗らず…。
結局、漫画を読んだりYoutubeを見たりして、少しでも入試の緊張を忘れられるように努めていました。
前日にもなると今更勉強することもないですし、それなら当日100%の力を出せるように、好きなだけリラックスしてよく寝るのが一番なのかな、と思います。
当日は慣れないスーツを着なければいけないこともあり、その形式ばった恰好や会場の雰囲気だけで手汗がすごく滲んだのを覚えています。
なので、試験以外の時間は少しでもリラックスできるように、試験直前までは好きな音楽とかを聴いて過ごしていました。
前日と同じように、当日ともなると新しく覚えられる内容はなかったです。
だったら、緊張をほぐすために時間を使った方が有効に思えました。
異なる知識量を持っているAさんとBさんがいたとして、
知識量100でも緊張で50%の力しか出せないAさんと、
知識量70でもリラックスしていて100%の力を出せるBさん、
受かるのはBさんの方です。
これはあくまでも例えですが、過剰に緊張するだけ損なのは間違いないので、
前日・当日はとにかくリラックスして活力を養いましょう!
私の入試体験記まとめ
私が心理学系の大学院入試を受けるにあたり、対策してきたことは、
- 過去問を読み解く
- 苦手な範囲を知り、筆記試験の勉強を行う
- 口頭試問に向けて回答の準備と心の準備をしておく
です!
受験する際の参考にしていただければ幸いです。
あなたの大学院受験と院生ライフを陰ながら応援しています!
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