受験シーズンが近づいてきましたね。
この記事を書いているのは3月なので、外部受験をする人は研究室訪問や院試の勉強をはじめている頃だと思います。
大学院入試って勉強することが山ほどあるんですよね!
私は化学系だったので、
- 有機化学
- 無機化学
- 物理化学
- 生化学
- 分析化学
などなど…
これらを3月から猛烈に勉強してました。
でも、いざ勉強を始めようとした時にぶち当たるのが、
- 参考書はどれを選べばいいんだろう?
- どうやって対策すればいいんだろう?
- どれくらい勉強すればいいんだろう?
っていう疑問なんです。
院試って受ける人が少ないので、どう勉強すればいいのか分からないんですよね。特に外部だとなおさらです。
そこで、この記事ではそんな疑問を持つ方へ向けて、
- 有機化学の対策や勉強法
- 実際に使ったおすすめの参考書
を紹介したいと思います!
大学4回生の4月で「化学が何もわからない」私立理系の人でも、旧帝大ぐらいならこれで有機化学対策はバッチリです。
私は、アニオンとカチオンの意味も知りませんでした!
他の科目対策はこちら
有機化学の対策方法
私は「低分子の全合成」、「新規反応開発」、「タンパク質の全合成」を大学から大学院までやってきたので、ガチガチの有機系化学者でした。
なので、ある程度有機化学を学んできたんですけど、確実に言えることは、
大学院入試の有機化学は暗記ものです。計算はほとんどいりません。「知ってるか」「知らないか」です。
つまり、センスはいりません。(フィル・バランぐらいの天才有機化学者を目指すなら、センスがめちゃくちゃ要ります)
旧帝大なら手が覚えるくらい演習を解けば、できるようになります。
とりあえず、合格するための勉強の仕方はこれでOKです。
合格するための勉強法
- 教科書で全体を軽く勉強する
- 目指す大学院の過去問を解く
- 解けなかった部分を教科書で勉強する
- 演習問題に取り掛かる
- 過去問を解く
- 3から5をループする
- 過去問が全部解けたら、ひたすら演習
有機化学の対策ポイントは、
有機化学の対策ポイント
- 逆合成解析はできなくてもいいから、合成ルートは考えれるように
- 反応名は反応機構と一緒に覚える
- 法則は確実に覚えておこう
- SR、DL、EZ表記はややこしいので、何回も見直すこと
- IUPACの命名法もしっかりと覚えておく
- 骨格や構造に名前が付いているものは覚える(インドール環とかキノリン骨格とか)
こんな感じですかね!
思考力を使うのは、ほとんど「合成ルートを考えなさい」みたいな問題や、IUPAC名ぐらいです。
それでは、これから勉強法とその時に使うおすすめの参考書を紹介します!
まずは、教科書で全体を軽く勉強する
有機化学は暗記ものなので、物理化学のような「理解すること自体、そもそも難しい」ことはあまりありません。
まずは、教科書を使って、頭で理解しながら軽く勉強しましょう。
例題を解くぐらいで、演習はまだ解かなくていいです。体系的に理解することを意識しましょう。
そのときに使う教科書はこちら。
- ブルース有機化学
- マクマリー有機化学
- ボルハルト・ショアー現代有機化学
- ウォーレン有機化学
このどれかを持っていれば、それを使ってまずは勉強しましょう。
持っていなければ、手に入れることをおすすめします。
この4つの教科書は有機化学が体系的に学べるんですけど、教科書としてのレベル差があります。
そこで、私立中位〜東大・京大までの「レベル別おすすめの教科書」をそれぞれ紹介します!
自分の目標に合った教科書を選びましょう!
【私立中位】ソロモンの新有機化学
中堅の私立の大学院を目指すなら、先ほどは紹介していなかった「ソロモンの新有機化学」で十分戦えると思います。
薬科大学などでは、ソロモンの新有機化学を教科書として勉強しているところもあります!
内容が簡単な分、理解しやすく、優しく教えてくれる印象です。
大学(私立)の時の優秀な友達が使ってた教科書がソロモンでした。私の大学では、よくわからない謎の教科書を使わされていたので、ソロモンを持っている友達が輝いて見えました…!
こんな方におすすめ
- 得意な分野が他にあるので、そこまで有機化学に力を入れずに勉強したい人
- 有機化学が苦手で、全くわからない人
【私立上位〜地方国立】マクマリー有機化学
基本的な部分は全て網羅されているのが、「マクマリー有機化学」です。
有機化学の教科書でもかなり人気な本です。
色使いが分かりやすく、「これから学んでいこう」という人でもしっかり理解しながら読んでいけると思います!
個人的には微妙に生化学の分野も入ってきている印象で、「ここまで有機化学としてやるんだなー丁寧だなぁ」って思いながら読んでました!
この本があれば、大体の有機化学の勉強には困らないです。辞書的な扱いができますね。
こんな方におすすめ
- 初歩から学んで、入試を受けたい人
- 幅広い範囲を丁寧に勉強していきたい人
【地方国立〜旧帝】ボルハルト・ショアー現代有機化学、ブルース有機化学
地方国立と、ちょっと挑戦して旧帝大も受けたい!という方におすすめの教科書が「ボルハルト・ショアー現代有機化学」と「ブルース有機化学」です!
特に、ボルハルト・ショアーは私が使っていた一番おすすめの教科書です!
- フルカラーで視覚的に分かりやすい
- 演習の答えが載っている
- 旧帝の過去問でも解けるようになるぐらい、奥深く学べる
「カチオンって何?」「不斉??なにそれ、国語の問題??」レベルしかなかった、私の残念な脳みそを旧帝に導いてくれました。
分かりやすさ・見やすさ・問題のレベルは保証します!これを何回もするだけでかなりの力が身につくでしょう。
2019年に最新8版が出たのも魅力です。
こんな方におすすめ
- 有機化学を得意科目にして院試に臨みたい人
- フルカラーで楽しく学びたい人
あと、「ブルース有機化学」も同じレベルくらいの教科書です。
この本はあまり読んだことがなかったんですけど、京大薬学部の先輩が「俺、これで大学院入試受けたよ」って言ってた教科書が「ブルース有機化学」でした。
京大にいくなら、ブルースで全然OKですね!
その先輩も有機系なので、間違い無いかと。まぁ、ストレートで京大の人なので、地頭がすごすぎるせいかもしれませんが!
中身もフルカラーなので、取り組みやすいです。
こんな方におすすめ
- ボルハルト・ショアーと同じくらいの内容が欲しくて、東大・京大が気になってる人
- フルカラーがいい人
【東大・京大】ウォーレン有機化学
東大・京大を確実に狙っていきたい人は「ウォーレン有機化学」を教科書にすれば万全です。
正直、ウォーレンは他の教科書より頭一つ抜けています。
有機化学が全くわからない人がやるべき教科書ではありません。一通り有機がわかっている人におすすめです。
これから、有機化学をがっつり勉強して、研究に活かしていくぞ!ぐらいの人がやるべき教科書です。
私も修士になってから読み始めました。
こんな方におすすめ
- 有機化学を得意分野にして東大・京大を狙う人
- 反応機構やクロスカップリングなど、他の教科書ではあまり説明しない部分まで詳しく勉強したい人
これらのうちのどれかの教科書を軽く一通り理解したら、次へいきましょう!
いきなりガッツリ時間をかけてやると、ものすごく時間がかかって、終わる頃には最初の方は忘れてしまいますので。
目指す大学院の過去問を解く
次は一度、あなたが目指す大学の過去問を解いてみましょう。
過去問は、大学のHPで公開していたり、研究室訪問の時に頼んだらもらえます。
そして、答え合わせ。
さぁ、何点でしたか?どこか苦手でしたか?
ちなみに、私は20点でした。もちろん100点満点中です!
自分の苦手な部分が分かれば、次へいきましょう!
解けなかった部分を教科書で勉強する
それぞれ、苦手な分野があると思います。
- 反応機構だめだったなぁー
- フィッシャー投影図苦手だ
- ザイツェフ則とホフマン則ごちゃごちゃになった
次は、解けなかった分野をもう一度、教科書で勉強しましょう。
間違わないように理解ができたら、演習問題に取りかかります!
演習問題に取り掛かる
始めは、教科書の演習問題から
演習問題は、まず始めに教科書の演習問題をしましょう!
教科書の演習は、その章のまとめになっているので、基本的に教科書を見れば解けるようになっています。
教科書の問題が解けるようになれば、次は演習のための参考書に移ります。
とはいえ、演習問題のなかでも難しくて解けない問題が出てくると思います。また、答えが知りたくても詳しく書いていないことも出てきます。
そんなときは、各教科書が出している「問題の解き方」を読んでください。詳しく解答が解説されています。
必須ではないですが、教科書と合わせて買っておくと便利です。
【ソロモンの新有機化学】
【マクマリー有機化学】
【ボルハルト・ショアー有機化学】
【ブルース有機化学】
【ウォーレン有機化学】
問題の解き方の本は、英語で書かれた洋書が多くなります。
院試で重要になる専門英語の勉強もついでにできるので、一石二鳥ですね!
教科書の演習問題が終わったら参考書を
教科書の演習問題はもうすでにやり尽くしてしまったよ…という方は、演習問題の参考書を解きましょう。
そんなに、参考書は何冊も買う必要はありません。数冊を何回も、何回も、繰り返し解くといいです。
参考書の1冊目としておすすめするのは、こちら。
院試で必要な、有機合成の力はこの本である程度まかなうことができます。
私は、この本を飽きるまでやりました。
解説が丁寧なのでわかりやすく、問題の難易度も一部難問がありますが、全体的にいい問題が揃っています。
また、「エステルの加水分解の反応機構を説明せよ。」のように、基本的な問題も取り扱っているので、一通り教科書で学んだ人の最初の1冊目におすすめです。
教科書の演習、もしくは参考書の演習が終われば、また過去問にいきましょう。
過去問を解く
教科書で苦手を克服して、演習も解いたら、前回と同じ過去問を1回解きましょう。
ここで、点数が上がっていればOKです!
そしたら、答え合わせをして、間違えたところを理解したら、次の年の過去問を解きましょう。
【過去問 → 間違えたところを教科書 → 間違えたところの演習】を繰り返す
ここからは、過去問を中心に据えて勉強していきます。
過去問が10年分あるなら、10年分全て満点取れるぐらいまでこのサイクルを繰り返します。
そうすることで、
- 問題の傾向
- 時間配分
- 選択問題の得意・不得意
が分かるようになります。
あとは、間違えたところだけを見直すので、効率的に復習ができます。
ここまですれば、本番で焦ることもなくなってくるでしょう。
過去問が全部解けたら、ひたすら演習
過去問もすべて解き終われば、次はより高度な演習問題を解いて、自信につなげていきましょう。
参考書の2冊目におすすめの本はこちらの2冊です。
【有機化学演習I-大学院入試問題を中心に】
【演習で学ぶ有機反応機構 大学院入試から最先端まで】
この2冊のうち、どちらかを勉強すれば有機化学の勉強は十分です。
私は、1冊目の有機化学演習Iを勉強しました。古い本なんですけど、大学院入試問題をベースとして問題が出されているので力がかなりつきました。
普通に本番より難しい問題があります笑
有機化学演習には続きもあるので、余裕があれば解いてみてください。
2冊目の「演習で学ぶ有機反応機構」は、有機反応機構を勉強するためにちょっと使いました。
ここまで詳しく反応機構が書かれている本はなかなかないので、重宝していました!
反応機構だけは、覚えるというよりも理解して、論理立てて、解く問題です。
わからない問題に当たったら、紙に実際に書きながら考えるといいですよ!
反応機構や合成ルート、逆合成解析ができるようになるには、論文を読むこと
最後に大学院入試だけ乗り切りたいわけではなく、同時に有機化学の力を身につけたいという方へ。
反有機合成の論文を読むのが一番です。
JOCやJACS、Angewなど、有名なジャーナルの有機合成の論文を読むと、とても勉強になります。
大学院入試ででる反応機構の問題や合成の問題は、誰かが発表した論文から引用されているものもあります。
そのため、実践的な反応を用いていることが多いです。
教科書には、基本的な反応はありますが、今流行りの実践的な反応は載っていないことがあります。
論文を読むことで、使用頻度の高い便利な反応を知ることができるので、ぜひ読んでみてください。
有機化学は全体を理解しないと解けるようにならない
有機化学は、すべての分野がつながっています。
基礎問題は個別に見えますが、応用の反応機構や合成は全ての基礎知識の結晶です。
応用を解くためには、苦手がないように対策することが大切です。
そのため、教科書と
レベル別教科書
参考書を繰り返し勉強しましょう!
おすすめの参考書
【教科書が終わった頃】
有機化学演習 基本から大学院入試まで
【過去問が終わった頃】
有機化学演習I-大学院入試問題を中心に
演習で学ぶ有機反応機構 大学院入試から最先端まで
【参考書も終わったら】
有機化学演習II-大学院入試問題を中心に
大学院進学や大学院生活でお悩みの方へ。
この記事を書いている私に、我慢している気持ちを相談してみませんか?
ココナラで大学院についてアドバイスを行なっています。
研究室訪問から院試対策、
大学院生活から就職活動まで
何でも気軽にご相談ください。