大学院生は「専門分野に特化」していて、なおかつ研究という「大きな問題に対して答えを出す力を養っている」ために、
「就活に有利になる」
って思ってしまうかもしれません。
でも、それは幻想です!
有利になんか基本的になりません。ファンタジーなんです。
私の周りには就活が決まらずに、就職浪人したり、卒業ギリギリまで就活していた人もいます。私自身もかなり苦戦したので、有利にならない事実を知りました。
大学院卒での就活は「将来の選択肢が広がる」だけであって、「大学院卒というだけで就活に強くなる」訳ではありません。
この記事では、大学院卒の就活で苦戦した私が、
- 大学院生と大学生の就活の違い
- 大学院生が有利にならない理由
- 大学院生の強み
- 就活の注意点
についてお伝えします。
幻想とか言いましたが「大学院生」は正しく使うと、超大企業に入ることもできます。
ハイリスクでありハイリターンでもある肩書が「大学院生」なんです。
後輩が就活に苦戦した私をみて、学んで、みんな超大企業に入って行ったのは笑ってしまいました。
あなたも私を踏み台に使って、いい企業に入ってくださいね!
大学院生と大学生の就活の違い
大学院生と大学生の就活の違いは、この3つです。
- 就活にかけられる時間
- 求められる能力
- 就活時期
もちろん、目指す会社や研究室の厳しさによって変わらないこともあるでしょうが、みんなの話を聞くと大きく違うのはこの3つになりました。
これから、それぞれについて紹介します。
大学院生には時間がない
大学院では、就活の他に研究も力を入れてしなければいけません。
研究室によって方針は大きく違うところがありますが、2パターンに分かれます。
- 就活を比較的自由にさせてくれる研究室
- 就活よりも研究を優先させる研究室
私の場合は後者でした。
4回生で就職することを決めてる人には強く言いませんが、院生には「研究結果」が出ていないと辛く当たられます。
そのため、研究もおろそかにすることができず、就活との両立をしなければなりません。
普段から忙しい大学院生は時間が限られているので、いかに効率よく就活ができるかが鍵になってきます。
結論からいうと、院生の就活を楽にしてくれるのは、逆求人型就職サイトです。
逆求人型就職サイトは、企業があなたのプロフィールを見て、「面接に来て欲しい」「インターンに参加して欲しい」などのオファーを送ってくれるサービスです。
プロフィールをしっかり埋めるのが重要ですが、それさえ書いてしまえばあなたに合う企業が向こうからやってきてくれるので、探す時間が省けます。
おすすめはこの3つで、あなたの目的に合ったところを選びましょう。
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求められる能力が違う
大学院へ進学する人の中には、
「製薬企業の研究者になりたい」
「メーカーの技術者になりたい」
という方が多くいると思います。
これらの職業は専門性が高いため、大学生がなるのは難しいです。
研究者や技術者を求める企業は、「ただの新卒」ではなく「専門知識や具体的な問題解決力を持つ戦力」として求めています。
そのため、同じ研究職でもあまりに分野が違うと、面接で不利になることがあります。
私は製薬企業を中心に受けていましたが、化学系だったのもあり、どうしても薬学生を相手にすると不利になりました。
もし、別分野の専門職を考えている方は自己分析をしっかり行って、専門性以外の強みについてアピールする必要があります。
自己分析については、こちらの記事でまとめているので、よければ参考にしてください。
修士の就活開始時期は大学生と同じ
就活の時期は大学生と修士は同じです。
就活の解禁日である、経団連が定める「就活ルール」は21年卒からは廃止されていますが、時期は変わりません。
3月に説明会開始で、6月に選考開始です。
23年卒も変わらないことが大筋決まっています。
大学生と同じですが、使える時間は修士の方が少ないので、大学生よりも早く対策を始めましょう。
また、大学院卒はインターンシップに参加していないと、選考すらさせてもらえない企業があります。
志望度が高い企業のインターンシップには、時間が許す限り参加するのをおすすめします。
理系ナビでは、他の就職サイトよりも早くインターン情報が掲載されることもありますので、注目しておきましょう。
博士の就活開始時期は早い
博士卒は大卒とは違います。
博士卒で、研究者・技術者などの専門職を目指す場合、1月や2月には募集が始まってます。
私は医薬品メーカーを中心に受けていたのですが、博士の募集は修士より早かったです。
やはり、優秀な人材は早めに確保しておきたいのだと思います。
研究や博士論文のせいで、時間の余裕が修士よりも圧倒的に少ないので、早めの方が正直ありがたいですよね。
博士課程の方は、就活が早いことを覚えていてください。
大学院生だからといって基本的に有利にならない
大学院生という肩書だけで有利になったら嬉しいのですが、なかなかありません。
ただ、大学院生は企業が求める専門性と合致している場合には、有利になる時もあります。
専門性が強い部分に関しては有利になる
大学院の時に研究していたことが、そのまま活かせる企業の場合は有利になります。
例えば、大学院で「薬の錠剤をつくる研究」という医薬品に特化した研究をしていた場合は、医薬品メーカーの製剤技術研究職に就職できる可能性が高いです。
薬を作る研究
→製薬メーカーに有利
エンジンを作る研究
→自動車メーカーに有利
ビッグデータの研究
→データアナリスト系の職に有利
他の人を採用するよりも知識がすでにある上に、大学院で最新研究をしていたことで新しい技術を生み出すための種を持っているかもしれません。
大学院生を採用するメリットが大きい時は、有利といえます。
一方で、営業や事務、企画など他の人と差別化できない職種や、全く関係ない業種を目指す時には、大学生と同じ土俵で闘うことになります。
研究職や技術職を狙うライバルは、みな大学院卒
有利にならない理由の1つが、研究職や技術職を狙っている人はみんな「大学院卒」だからです。
大学院卒による差別化ができません。
そのため見られるところは、
「大学院でいかに成長したか」
「この会社でなければならない理由があるか」
「どんな将来のビジョンを持っているのか」
などの「あなた自身の能力や考え方」になります。
周りの優秀な院卒に勝てる研究成果や就職対策をしてきたかどうか、が大事になってきます。
就職対策や企業研究は、すればするほど有利になります。
就職対策がまだこれからという方は、以下の記事を読んでいただけると、自分に合う就活サイトがわかります。
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大学院生は期待されるがゆえに、ハードルが上がっている
大学院生は、研究を通して、
- PDCAサイクル
- 論理的思考(ロジカルシンキング)
- 積極性
- 問題解決力
- 知的好奇心
など、多くの力が培われていきます。
そして、企業側は大学院生に対して「研究で身につける能力が備わっているもの」として接します。
大学生より求められるハードルは上がってるんです。
そのハードルを超えることで、就活に立ち向かっていくことができます。
大学院生としての能力を備えることが大学生との差別化になる
では、有利になるためにはどうするのが良いのかと言うと、「研究を通して、成長すること」です。
大学院は、大学では学べない多くのことが学べます。
- 高度な専門知識とテクニック
- 自ら仮定して、実験して、分析して、改善する思考力と実行力
- プレゼン力
- 英語でのコミュニケーション力や読解力
どれも、社会で通用する力になります。これらの力を身につけた時、初めて大学生より有利になります。
自分は何のために大学院へ行き、何を身につけたのかを言えるようになることが大切です。
大学院生の強み
大学院生の強みは「研究をしていること」です。
研究をしていると、就活が楽になる場合があります。
- 問題解決力が備わっている
- 研究職や技術職になれる
- 研究室のコネを使える
- 研究と同じ事業をしている会社がある
問題解決力が備わっている
研究とは、ある特定の物事について、人間の知識を集めて考察し、実験、観察、調査などを通して調べて、その物事についての事実を深く追求する一連の過程のことである。
研究をするだけで、何か問題が起きた時に対処できる力が養われます。
これは、働くにあたり大切なことです。
もちろん、研究をしてもビジネススキルがすべて身に付くわけではありません。
でも、「どうしたらできるようになるのか」を自然と考えられる様になるので、仕事を覚えるスピードは早くなります。
研究職や技術職になれる
これが、一番の強みではないでしょうか。
研究職や技術職は大学院卒でないとなれない企業が多いです。
大手企業では「院卒+専門スキル+英語スキル+人間力」を求めてくるので、どんなスーパーマンの集まりだよって思ってます。
バケモンっているんだよなぁ。
大手の研究職を目指す人は、気合い入れて頑張ってくださいね!
研究室のコネの力は偉大
研究室のコネってめちゃくちゃ強いんですよ。
特に、製薬企業とかになると、研究室のコネか、スーパーマンか、同じ分野の研究をしてないと、ほとんど就職できないです。
あとは、社内で学閥がある大学とかも強いですね。
私の研究室でも、何人か同じ企業に入ったりもしてました。
コネで研究室を選ぶのも、賢い選択だと思います。
研究分野と同じ事業をしている企業に対しては有利
もし、入りたい企業があって、研究職になるために大学院へ進むのなら、
- 近い分野の研究をしている研究室
- 共同研究先の研究室
に所属していると、かなり強みになります。
すでに大学院生であるなら、あなたの研究と近い研究をしている企業を受けると、内定がもらいやすいです。
志望動機も作りやすく、仕事のビジョンも具体的に考えられます。
大学院生の就活の注意点
多くのことを学んできた大学院生だからこそ、注意してほしいことがあります。
それは、この3つです。
- 大手狙うなら英語力は必須
- 専門分野でもわかりやすい言葉を意識する
- 就活と研究の両立は簡単じゃないので早めに就活準備を
研究をしていると疎かになりやすいところなので、気をつけましょう!
外資系企業や大手の研究・技術系の職業を目指すなら、英語は必須技能
大学院生、特に国立大の院生には、英語で日常会話程度のコミュニケーションを取れる人が多いです。
英語が得意な方や、留学を経験されている方は問題ないと思います。
でも、私みたいに英語ができない普通の人にも関わらず、外資や大手に行きたい方は早めにTOEICや英会話をしておきましょう。
私も今、転職活動中ですがキャリアアップするにあたって、英語がネックになっています。
就活でも社会人でも、英語はとても大事です…(切実)
英語の大切さはこちらの記事で紹介しています。
研究紹介は中学生でもわかる言葉で、わかりやすく説明すること
大学院で関わる人はみんな専門家で、普段から当たり前のように難しい言葉を簡単に使います。
でも、人事の人や、他分野の研究者からは、簡単ではありません。
そのため、専門用語などの難しい言葉は使わないようにしましょう。
目安は「中学生でもわかる言葉」です。私が院生の頃に、教授から口すっぱく言われました。
これは、就活だけでなく学会などでも同じなので、簡単な言葉で話す癖をつけましょう。
能ある鷹は爪を隠すんです。爪をギラつかせても損するだけです!
とにかく、「早めに取り組む」こと。就活開始の1年前から対策を始めよう
私が一番後悔していることです。
就活は準備を入念にして「短期決戦」が一番です。
でないと、精神は消耗するわ、研究は進まないわ、で苦しくなります。
苦しくならないように、前もって長い時間をかけて「就活準備」をしましょう。
- 自己分析
- SPI対策
- 企業研究
- TOEICや英会話
- 面接対策
- インターンシップ
やらないといけない事は多いです。そのため、就活解禁の1年前からコツコツと準備すると、就活で幸せになれます!
大学院卒の強みを磨いて、就活を乗り切ろう!
大学院卒は、怠けるとハイリスクな就活になりますが、
頑張って強みを磨くとローリスク・ハイリターンのコスパの良い就活ができます。
そのためには、普段の研究も就活を手を抜かず、ガッツリやることが大事です。
研究に手を抜いて良い企業に入ったとしても、入ってからが辛くなります。
研究頑張りすぎても、私のように就活が辛くなるので、良いバランスを見つけて頑張ってくださいね!