専願で1つの大学院しか受けていなかったりすると、ショックで何も考えられなくなりますよね。
私も専願で落ちた経験があるので、すごく気持ちがわかります。
でも、絶望するのはまだ待ってください。
もし落ちてしまったとしても、まだ大学院に行くチャンスも、就活で内定を獲れるチャンスも残っています!
そのため、落ち込む気持ちを一度抑えて、冷静に今後の行動を考えていきましょう。
夏の院試で落ちた場合、その後の進路は大きく分けて2つあります。
- 後期院試や別の大学院を狙っていく
- 就活に切り替えて内定を狙っていく
本記事では、院進学を目指す場合と就活で内定を目指す場合に分けて、今からできる行動と対策について紹介していきます!
院試ってどのくらい落ちるの?
院試って楽に考えがちですが、結構落ちます。
東大・京大や旧帝大などの有名大学の院試では、倍率が1倍以上になる研究科も多く、不運にも落ちてしまう受験生が出てしまいます。
以下の表は、倍率が1倍を超えている大学院の一例です。
大学院 | 研究科 | 倍率 |
---|---|---|
東京大学大学院 | 理学系研究科 | 1.8 |
工学系研究科 | 1.8 | |
経済学研究科 | 3.9 | |
京都大学大学院 | 生命科学研究科 | 1.2 |
東京工業大学大学院 | 理学院 | 1.7 |
大阪大学大学院 | 理学研究科 | 1.2 |
東北大学大学院 | 理学研究科 | 1.3 |
*2021年度の院試倍率
2022年東京大学理学系研究科の志願者数と入学者数を見ると、
- 志願者数
内部:227名 他大学:334名 - 入学者数
内部:194名 他大学:141名 - 合格率
内部:1.17倍 他大学:2.37倍 全体:1.67倍
内部は10人に1〜2人、他大学では10人に5~6人落ちます(入学者数なので、合格して行かない人も含みます)。
こう考えると、大学入試までじゃないにしても、ある程度気合を入れて臨まないといけません。
院試に落ちてしまった時、次に取れる7つの行動
夏の院試がうまく行かなかった場合、「大学院」と「就職」のどちらかを選ばなければいけません。
*起業やフリーランスなど他の道もありますが、一般的ではないので今回は除きます。
夏の段階であれば、まだどちらでも狙えるので、じっくりと考えましょう。
大学院に進学したい場合
大学院への進学を希望する方は、次の4つの道があります。
- 冬にある後期院試を目指す
- 志望大学院を変えて、今からでも受けられる所を探す
- 留年して研究室にいながら、来年チャレンジする
- 卒業してから、もう一度チャレンジする
冬にある後期院試を目指す
院試は夏のイメージがありますが、一部大学院では冬にも院試が行われています。日程は夏が8月ごろで、冬が2月ごろです。
そのため、夏でうまく行かなかったとしても、挽回できるチャンスがあります。
例:東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻
夏入試:2021年8月5~30日
冬入試:2022年1月25~27日
しかし、「あ、それなら安心だ!」って思った方は、気を引き締め直してください…!
実は、冬の院試は夏の院試と比べて、合格者数が圧倒的に少ないです。
例:筑波大学大学院 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 数学専攻
夏入試:2021年8月18~19日 募集24名
冬入試:2022年1月31日~2月1日 募集2名
また、夏よりも科目が少なくなる傾向があるため、易しくなったかと思ってしまいます。
簡単になるということは、「他の志願者と点数に差がつきにくい」という意味でもあるので、油断せずに夏の勢いのまま走り抜けましょう!
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志望大学院を変えて、今からでも受けられる所を探す
志望大学院の冬入試がない場合、似た研究を行っている他の大学院に志望を変えて合格を目指しましょう。
夏院試で定員に達しなかった大学院では、2次募集が秋に行われることがあります。
例:大阪大学大学院 理学研究科 高分子科学専攻
夏入試(1次募集):2021年8月9日 募集24名
秋入試(2次募集):2021年11月6日 募集若干名
秋入試でも夏入試と比べて易しくなることが多いですが、合格基準に達していない場合は合格者0もあるので、対策はしっかり行いましょう。
留年して研究室にいながら、来年チャレンジする
これは全くおすすめしませんが、留年・休学して再び4年生としてチャレンジする方法もあります。
この場合、
- みんなと一緒に卒業できない
- 来年度の学費がかかるため、金銭面の問題がある
など悲しい思いをしたり、親御さんに相談する必要もあるので、デメリットが多いです。
浪人してもう一度チャレンジする
- どうしても行きたい研究室がある
- 秋も冬もダメだったけど、大学院は行きたい
- 大学院を卒業しないと就けない仕事がしたい
など、大学院に必ず進学したい方は、卒業して浪人として大学院入試にチャレンジしましょう。
院試は大学入試と同じく、卒業後でも一般入試枠で受けられます。
留年して学費や一人暮らしの家賃を払うよりも、卒業して実家で勉強する方がプレッシャーもお金も少なく済みます。
今年の反省を活かして、来年必ず合格してやりましょう!
就職活動をして内定を取りたい場合
これから就活をして内定を目指す場合には、次の3つの道があります。
- 7~8月からの就活で内定を取る
- 留年して新卒カードをもう一度使う
- 既卒で就活をする
7〜8月からの就活で内定を取る
院試後から就活をして良い企業に就職するには、「数とスピードが命」になります。
他の就活生と比べて経験と情報が不足しているので、エントリー数を増やして経験を積み、良い企業の選考が全て終わる前に情報を集めて滑り込みましょう。
これまで院試で培ってきた集中力と思考力があれば、今からでも間に合います。
夏から内定を目指すなら、以下の4つを実践すると効率的にチャンスを集められます。
また、就職サイトで自らエントリーするのも大事ですが、どうしても時間がかかってしまいます。
就活は秋が終わると一気に企業が少なくなるので、秋までの短い期間にどれだけ企業にアプローチできるかが鍵です。
そんな時に心強い味方となるのが、逆求人サイトです。
逆求人サイトはあなたのプロフィールをみて、企業からアプローチが来ます。
他の企業の面接対策やESを書いている間にも、新しい選考の機会が得られるので、時間がない方にとって本当にありがたいサービスです。
次の代表的なサービスを利用するだけで、内定の可能性は格段に上がります。
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スーツなど就活アイテムがない・適切なヘアスタイルが分からない…という方は「0円就活」というサービスを使えば、無料でスーツの貸し出しや美容室でのカットが受けられます。
留年して新卒カードをもう一度使う
できる限り避けるべき方法ですが、一応選択肢としてはあるのでお伝えしておきます。
留年をした場合、再び新卒カードが使えます。
就活解禁から全力を尽くせるので、実力次第では第一志望の企業に内定することも可能でしょう。
ただし、留年をした場合は金銭面に加えて「留年した理由」を説明する必要があります。
企業は必ず聞いてくる部分なので、納得できる理由を用意しなければなりません。
どこかの大学院の選考がまだ残っているのであれば、院に進学してから就活をして内定後に中退する、というルートを選んでいる方が多い印象です。
既卒で就活をする
冬の院試もうまく行かなかった場合、既卒で就活する選択肢が出てきます。
既卒は新卒ではなくなってしまいますが、卒業から1年という短い期間であれば、新卒と同じ扱いをしてくれる企業も多いです。
また、卒業してすぐならマイナビ、リクナビなど主要な新卒向けサービスも利用できます。
そのため、既卒でも頑張れる方は卒業研究をやり切ってから、就活に備えるのが金銭的・心理的な負担も少なく済みます。
既卒向けの就職サイト「Re就活」や、既卒専門の就職エージェントも充実しているので、新卒とは違った強みもあります。
院試に落ちた時にまずするべきこと
院試に落ちてしまった時は冷静さを失ってしまい、実際にまだチャンスがあったとしても見逃してしまう人も多いです。
将来後悔しないためにも、まずは次の3つを行っていきましょう。
- まずは、冷静になるために親や友人に伝える
- 自分に残されている可能性を考える
- 選んだ道に進むための準備と相談を進めていく
まずは、冷静になるために親や友人に伝える
はじめにして欲しいのは、親や友人に話して「冷静さを取り戻すこと」です。
院試がうまくいかなかった時のストレスはとても大きいです。
自分が気づかないうちにストレスが溜まっていき、何もやる気が起きなくなったり、どうでも良くなって自分の将来を投げやりに決めてしまったりしてしまいます。
そうならないように、
- 結果について
- ショックな気持ち
- 悩んでいること
など、今の自分の気持ちを周りの人に伝えましょう。
心の中にたまっている感情を吐き出すことには、気分がすっきりして不安や緊張などが和ぐ効果(カタルシス効果)があります。
自分に残されている可能性を考える
次に、今の自分に残されている可能性を考えます。
例えば、院試を8月に受けた場合には、
- 10月の2次募集
- 12〜2月の後期院試
が残されています。
第一志望が残っていたら最高ですが、そうでなくとも自分のやりたい研究ができる大学院がまだ残っている可能性もあります。
私の後輩でも夏季ではうまくいかず、冬季で受かった人がいるので「諦めない心」がある人は強いです。
選んだ道に進むための準備と相談を進めていく
これから進む道が決まってきたら、具体的な準備と相談を進めていきましょう。
大学院を目指すなら、
- どこの大学院を受けるのか
- 受験日や試験科目、事前提出資料の確認
- 過去問の入手方法や出題範囲
- 研究室訪問の日程調整
- 受験日から逆算した勉強スケジュールの作成
などの準備を計画的に進めていきます。
いくつかの大学院を併願する場合や、一人暮らしが必要な場合には、親御さんとの金銭面の相談もしていきましょう。
また、就職を目指すなら、
- 自己分析
- 筆記試験対策
- 企業選び・企業研究
- 説明会の日程確認
- 志望動機などのES作成
- 面接、グループディスカッション対策
など多くのタスクがあるので、スケジュールをしっかり立てて効率的に進めて行かなければなりません。
1から自分で調べて把握するのが難しいと感じる方は、「JobSpring」や「キャリアチケット」などの新卒エージェントサービスを使うといいです。
院試に落ちないために今からできること
院試は単純に偏差値や学科だけで選ぶと、思った結果と違うことになりかねません。
そのため、当日の院試勉強以外に今からできることを紹介します。
- 研究室訪問でそもそも募集しているか確かめる
- やりたい研究ができる研究室をいくつか見つけて、併願で受ける
- TOEIC・TOEFLなど「事前提出できるもの」の対策は完璧を目指す
研究室訪問でそもそも募集しているか確かめる
院試で感じた1番の罠は「志望する研究室でそもそも募集していない」というパターンがあることです。
「行きたい研究室見つけた!院試で手応えあり!でも、そもそも募集してなかった…」
これが普通にあります。
「研究室に訪問していない」という理由で落とす先生もいるので、必ず研究室訪問をして募集しているかの確認を取りましょう。
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やりたい研究ができる研究室をいくつか見つけて、併願で受ける
絶対受かってやる!という高いモチベーションを保つために、専願で受ける私のような人もいますが、基本的には危険です。
背水の陣で挑むのは、追い込まれないと力を発揮できない方だけに勧めます。
そうでない方は、リスク管理としてやりたい研究ができる研究室をいくつか見つけて、併願で受けましょう。
併願の場合は、一番難易度が高い大学院の問題をベースに勉強すると他にも対応できます。
現在通っている大学の院試も受けておくと、合格できる確率は高いです。
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TOEIC・TOEFLなど「事前提出できるもの」の対策は完璧を目指す
手を抜きがちなのがTOEIC・TOEFLなど事前提出できる科目です。
合格点がわかりづらい上に、低くても当日の専門科目の成績次第で逆転できるので軽視している人もいます。
ですが、合格の切符を確実に手にするなら、事前提出こそ完璧を目指すべきです。
いくらでも時間をかけれて、何度でもチャレンジできる科目があるのに、満点を狙わないのは本当にもったいない。
ここで点数を稼げば、当日が少し不調でも問題ありません。
院試の後も人生は続く。だからこそ、先を見据えた選択をしよう
今回の院試はただの選択肢の一つで、それの合格だけが正解じゃないです。
大学院に合格しても、研究生活に馴染めず去っていった友人や、就職して別の道で幸せになっている友人もたくさんいます。
うまくいかなかったからこそ、得られたものもあり、この経験をきっかけにもっと良い人生が待っている可能性も十分にあります。
次に選んだ選択肢を正解にしていく。
そんな気持ちで、先に進む道を考えて努力を積み重ねるときっと良い結果が待っています。